「長期任務って、どれくらい?」
「はっきりとは聞かされていませんが、
任務内容からして恐らく一ヶ月位ですね」
「一ヶ月かぁ・・・」
僕の言葉を聞いた先輩が、溜め息まじりにそう言った。
確かに一ヶ月は長い。その事を考えると、僕も憂鬱になった。
「一ヶ月後には、少しは暖かくなってますかね」
暖かくなれば、こんな憂鬱な気持ちも
少しはマシに感じられるような気がした。
こんなに寒い季節、先輩がいない夜は
寒くて寒くて凍えてしまいそうだから。
「そうだな。きっと、暖かくなってるよ」
「僕が帰ってきたら、今度はまた先輩が長期任務だったりして」
そんな事、あり得ない話では全く無いから気が重くなる。
「あ〜・・・多分帰ってくる頃、俺まだここにいると思う」
「え・・・。そんなにひどいんですか!」
「一ヶ月は安静だって。大げさなんだよ、医療班も。体が鈍っちまう」
顔が青ざめる。そんな病人の、膝の上に乗っかってるだなんて。
「せっ、先輩!降ろして下さい」
すぐにでも降りないとと思いつつも、無理に離れようとして
傷に負担をかけてしまってはいけないと思うと下手に動けなかった。
「だ〜め」
「え〜・・・。もう、知りませんからね」
傷が開いて治りが遅くなったって。
どうせ僕の言う事なんて、聞いてくれやしないんだから。
でも。僕はなんだか幸せで、こんなに穏やかで。
本当に僕は、先輩が好きなんだなぁと、しみじみ思った。
僕の肩の上に顎先を乗せたままの先輩の頭に、そっと頬を寄せた。