baby blue テンゾウ










「笑ってよ。テンゾウがそんな顔する事ないでしょ」

そう言って先輩は、目尻を下げてにっこりと微笑んだ。
笑ってと言われても背中の傷が心配で、僕は・・・
言葉に詰まり、視線を逸らした。 
その隙に、先輩に唇にキスをされて僕は目を見開いて
驚きで固まってしまう。

先輩のキスは、すこし強引で、僕の唇をぺろりと舐めから
口内に割り入ってくる舌はとても熱かった。
傷に負担をかけてはいけないと思いながらも、
体中が痺れるような濃厚なキスをされて、全身の力が一気に抜けた。
一度こうやって触れ合ってしまうと、ずっと離ればなれだった僕と先輩は
その時間を埋めるかのように、長く、深く、お互いの舌を絡ませ合った。

息苦しくなるほど濃厚なキスをして、頭がぼんやりとしている。

「テンゾウ、明日は?」

先輩が囁くように甘い声で僕に訊いた。
明日からは長期任務が入っている事を、先輩にはまだ言っていなかった。
せっかく会えたのに・・・。集合時間は早朝。
だから先輩といられるのは、あと数時間。

「明日から・・・里外での、長期任務です」

甘い気分だったのが、一気に現実に引き戻される。
僕が言うと、ふぅ・・・。と、大きく先輩が溜め息を吐いた。

「またすれ違い・・・か。仕方ないけど、せっかく会えたのにね」

でも・・・。ほんのちょっとでも、こうやって会えたから。
会えないままで、任務に行くよりもずっといい。

「でも、会えたから僕は嬉しいです。だって
 今日はもう会えないって思ってましたから」

そう言うと、ふっと笑い、ベッドに腰掛ける形で先輩に
抱きしめられている僕の体を持ち上げて、その膝の上に乗せた。

「わっ、先輩!き、傷が開きますよ・・・!」

慌てて離れようと、先輩の腕を掴んでも
更に強い力で抱きしめられて、逃れられなかった。

「馬鹿。暴れると余計、傷に響くでしょ」

そう言った先輩は、僕の肩の上に顎を乗せた。
その表情は伺えないけど、なんだか嬉しそうな声色を聞いたら
胸が熱くなって、また力が抜けてしまう。
僕に弱点があるとしたら、間違いなくカカシ先輩だ。
僕を憂鬱な気持ちにさせられるのも、幸せな気持ちにさせられるのも、
この人の他に、誰もいない。







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