寒い藍色の夜。暇を持て余してふらりと庭が見渡せる廊下に腰を降ろす。
ガラスの窓からの隙間風が冷たい。外はきっともっと寒いんだろう。
今日はとても憂鬱で、せっかくの休みを何もしないで過ごしてしまった。
小さく溜め息を吐き出し空を見上げると、星がよく見えた。
あの人と一緒なら、きっとこの星空だってきれいだと思えるんだろう。
そんな事まで考えてしまう僕は、本当にどうかしてるんだと思う。
先輩の任務が予定通りであれば、もう里に帰ってきていてもいい頃だ。
里に戻ればすぐに会いに来るか、それができなくてもまずは連絡をする。
僕と先輩が付き合いだしてからはずっとそうだった。
憂鬱な理由はもうひとつあった。明日から急な任務が入った。
それも里外の極秘任務だった。
先輩とはもうかれこれ一ヶ月近くも会っていない。
任務でのすれ違いなんて今に始まった事じゃないけど
こればかりはどうしたって慣れない。早く会いたい。
そして、いつものように会いたかったって言われて抱きしめられたいのに。
そう思うと、また寂しさが増して、それを少しでも紛らわせようと
もうひとつ大きく溜め息を吐いた所で、先輩の式が飛んで来た。
式・・・?もしかして何かあったのか。
不安な気持ちでいっぱいになりながらそれを開いた。 p>
「ごめ〜んね。ちょっと怪我しちゃって病院に連行されちゃった。
すぐ会いに行きたいんだけどチャクラも切れて動けないんだ」
読み終わると、すぐに式は消えてしまい、僕は慌てて身支度をする。
どうしてあの人は・・・いつも無茶ばかりするんだ。
きっとまた、しばらく入院なんて事になるんじゃ・・・。
心配と不安な気持ちが体中を駆け巡る。
僕は焦る気持ちを抑えきれず、上着だけを手に取り家を飛び出した。