囲いのなかで  R18











僕の部屋に遊びに来ていた先輩が、突然僕を抱きしめて
その顔を僕の首筋に埋めた。
そしてその唇が、僕のうなじにキスをしながら、
ぺろりと舐められる。
思わず僕は身震いをした。
・・・え、これって・・もしかして・・。

「せ・・んぱい?」

先輩は僕の耳たぶをぱくりと銜えて囁くように言った。

「・・いい?俺、もう我慢できそうにないの」

「それって・・・」

そういう・・・意味、ですよね?

僕は心臓が飛び出そうになった。
まさか突然、こんな日が来るなんて思ってなかった。
今日だって・・・食事した後、いつものように一杯やってる所だったんだから。

「気持ちよくシテあげるから。テンゾウが欲しい」

僕は心の準備が出来ていないけど、こくりと頷いた。
だって・・・僕だって、先輩に抱かれたかった。僕は、経験がないから
先輩が我慢してくれてるのも気付いてたけど・・・自分からは言えなかったから。

先輩は顔を上げて、僕を見つめる。もうその目は熱っぽくなっていた。
そして、ゆっくりと唇を合わせる。
合わせた唇を先輩の舌が割って口内へと入ってきた。
いつもより濃厚なくちづけに驚いている僕の舌を絡めとり、
くちゅくちゅと音を立てながら這い回る。
先輩の舌は熱くて、体が溶けてしまいそうだ。

ぼんやりとそんな事を思っていると、先輩が僕の服の中に手を潜らせて
その少し冷たい手で僕の体に触れた。

「っふぅ・・・」

堪らず溜め息を漏らすと、それを塞ぐように深く舌が絡んでくる。
先輩の一方的なキスに僕の思考能力を止められた。

先輩の手がもうすでに大きくなっている僕のモノに触れた時、
緊張で体が震えた。

その緊張を解くように、優しく撫でられる。

「っ・・・」

喘ぐように息を吸っても、先輩の唇によって
すぐに塞がれてしまうから息が苦しい。
その唇からやっと解放されたかと思うと、そのまま
耳へと移されて首筋にかけて舌が這う。

「は・・・あっ・・・」

「・・・気持ちいい?」

耳元で吐息まじりで囁かれて、背筋がぞくりとした。

「せ、んぱい・・」

こんな声自分でも恥ずかしいのに 我慢が出来なかった。
そして、もっと触れてほしいと思う僕もいて。
先輩の舌は、僕の胸の突起物を捕らえ、唇で咥え
くにくにと先端を捏ねるようにして啄む。

「ああっあっ」

そして舌先でツンツンと、敏感になったその先を突かれたら
体中がじんわりと熱くなって、なんとも言い難い快感が襲った。

「ふあっ・・・あっ」

先輩の開いている右手が、僕の下腹部へと伸びて
硬くなって先走りでぐちゅぐちゅになっている僕のモノを扱き始めた。

「そんなに気持ちいい?すごく、濡れてる」
「やっ・・・先輩っ・・・!」

口に出され、羞恥を覚えながらも先輩に触れられて
一層そこに熱が集るのを感じた。

「こっちも舐めてあげる」

先輩はそう言い、僕の下腹部へと顔を埋めた。
僕を見ながら先輩は、舌先で先端から根元まで
突くように這わせる。

「テンゾウは・・・どこが気持ちいいの?」
「うぅっ・・あっ・・はあっ・・」

そんな恥ずかしい事、言える訳が無くて僕は顔を腕で覆った。
くまなく僕の竿を舐める舌先が、スジを舐め上げた。

「ふあっ!ああっ・・・」
「ん・・・ここ、イイの?」
「あっ・・はっ・・・」

先輩の舌先が、何度もスジを舐め上げていたかと思うと
ぱくりと雁首を咥えて、ちゅうっと音を立てて僕の先走りを吸い上げた。
口内の熱さと吸い付く舌が気持ちよすぎて、腰が浮く。
そして、チュパチュパと音を立てて、先輩を見ると
目を閉じ、まるで美味しいそうなものでも食べているような顔をしながら
その口の中に僕の雁首を挿れたり出したりしていた。

「せっ・・んぱい・・」

僕が呼ぶと、ゆっくりと目を開かせてその目を細めた。
その表情はすごく妖艶で、僕は快感にうっとりしながらゴクリと喉を鳴らした。

「イっちゃいそうな位、気持ちいい?」
「っ・・・!」

言って先輩は、色っぽく微笑んだ。

「もうちょっと味見して、テンゾウのイイとこ知りたいけど
 次のお楽しみに取っとく。・・イかせてあげる」

唇を僕の竿にぴたりと密着させながら、ぬぷ・・と卑猥な音を立てて
その口の奥へと呑み込んでいった。先端だけ感じていた、ぬらぬらとした先輩の
熱い口内を全体で感じ、ふわぁっと体中までが熱くなった。
そして、その唇をぎゅっと密着させたままで上下に動かした。
喉の奥に雁が当たり、射精を促される。気持ちよくて、溶けそう。
そして動きながらも舌が這い回って達してしまいそう。我慢、できない。

「はあっ・・んっ・・先輩・・・イ、キそう・・!」

そして、僕は先輩の喉の奥へと射精をしてしまった。
達したあとも、舌で優しく舐められて頭が真っ白になる。

「っはぁ・・・はぁ・・・」

ぼんやりと先輩を見ると、美味しそうに僕のを呑み込んで
にっこりと微笑んだ。

「気持ちよかった?」
「・・先輩、のも・・・してあげたい・・です」

僕だって・・・先輩に気持ちよくなってもらいたい。
そんな思いで言った。すると先輩は、目尻を下げて優しく微笑む。

「今日はいいよ。・・・それにテンゾウ、した事あるの?」

からかうように言われて、顔が赤くなる。した事はもちろん無い。
先輩だって、そんな事知ってるのに僕に言うなんて・・・。

「かわいいテンゾウに、そんな事させらんないでしょ」
「でも・・・先輩は、誰かにしてもらった事あるんでしょう?僕だって・・・」

先輩の過去の事なんて知りたくないし、嫉妬したりしたって仕方ないけど・・。
僕は初めてで・・・先輩は、男の僕をイカせるのがこんなに上手くて。

僕が目を逸らすと、先輩は溜め息をついて僕を優しく抱きしめた。
ふわりと先輩の柔らかい髪が、頬にかかる。

「・・・今日は、これで終わり。また、今度にしよう」

え・・・。

 

先輩のその言葉に僕は言葉を失った。優しい口調だけど、
当然今日は最後まで・・・っていう言い方だったから、
今の言葉で突き放されたような気がして胸が痛くなった。
僕が変な事、言ったから・・・。

「先輩っ・・・!」
「・・・ん〜?」

いつもの飄々とした受け答えをする。あぁ、先輩は余裕だ。
そう思って僕は泣きたくなった。

「僕が・・・余計な事聞いたからですか・・・」
「ん〜・・・。いや、やっぱりまだ早かったかなって思っただけだよ」
「そんな・・・嘘、付かないで下さい。・・・先輩」

すると、もう一度溜め息。

「だって、昔の男に嫉妬されたってどうする事もできないでしょ。
 妬かれたままで、テンゾウを抱いたって・・・俺はそんなの全然、嬉しくない」

先輩の言ってる事はもっともだ。もう泣きたくなる・・・。

「・・・すいませんでした。でも、僕は・・・先輩が、欲しい・・です。
 こんな気持ちも、どうでもよくなる位・・・抱いて、下さい」
「・・・テンゾウ」

嫌われたかも知れない。と思うと、我慢していた涙が零れた。
ぐすり。と、鼻をすすると、先輩がゆっくりと体を起こして僕の顔を覗き込んだ。
そして、僕の涙を見て目を見開き眉を潜めて、目尻から零れ落ちた涙を唇で拭った。 

「・・・ごめん。テンゾウの気持ち・・わかってやれなかった」

僕は言葉が言えない代わりに、首を横に二度振る。

「俺のことしか考えられないくらいに、気持ちよくしてあげる。
 ・・・初めてなのに不安にさせて、ごめんね・・・。
 俺、ずっとテンゾウを抱きたくて我慢してたから・・・」

先輩まで泣きそうな顔をしながらそう言った後、ゆっくりと再度唇を重ねあった。

そして先輩の唇がゆっくりと首筋に降りていく。
胸がざわつくような感覚を覚えながら、僕は目を閉じて先輩に体を委ねた。
僕の背の後ろでカタ、と小さい音がした。先輩が何かを取り出したらしい。
そして次の瞬間先輩の指が僕の後ろの穴に触れた。
何か、液体のようなものを塗り広げられ、優しく入り口を刺激されると
恥ずかしさを覚えると共に、さっき放ったばかりの熱がまた腰に戻ってきてしまった。

「っ・・先輩、何・・を」

「嫌じゃない?・・・痛くない?」

僕の首筋に唇を這わせながら先輩が聞いた。

「・・・痛く、ない・・です、それより僕が聞きたいのは」

今塗り広げられてる液体は何なのかって事だった。でもヌルヌルと滑る感触が
腰が浮きそうになるほどに気持ちよくなってきた。

「テンゾウが痛くないようにする為のもの。・・・指、挿れるよ」

くちゅりと音を立てて先輩の指が僕の中に入ってきた。

「ふあっ・・・ああ・・・」

痛みもなく入ってきた先輩の指は、暫くして中でくねくねと動き
その指の腹が、ある場所を擦りあげた途端に今まで一度も味わった事のないような
快感を感じ、堪らず先輩にしがみついた。

「ああっ、ふっ・・・せ、んぱい・・・!」

「ここ、気持ちいい?・・・テンゾウ、こっち見て」

先輩が僕の顔を覗きこんで、そう囁いた。
僕はもうなんどもそこを擦られて達してしまいそうだった。
ぎゅっと閉じていた目を開いて先輩を見ると、先輩は眉を潜めて
僕を切なそうな顔で見つめていた。

「テンゾウ、かわいい。・・・もっと声、聞かせて」

「っ・・先輩・・・!」

そして、僕は2度目の射精をした。
恥ずかしさのあまり、顔を腕で覆いながら乱れる息を整える。
その腕を、先輩に引き剥がされた。
そして、紅潮している僕の顔を覗き込んだ。

「もう挿れてもいい?俺、もう我慢できない」

そう言った先輩の表情が、いつになく真剣で、
切ない目をして、緊張してしまう。
あぁ、でもやっと。先輩と・・・

小さく頷くと、ぎゅっと上から僕を強く抱きしめた。
ありがと。って言って。

僕を抱きしめたままの姿勢で、先輩の硬くて熱いものが
入り口に当てがわれた。
体中が、緊張で固く強張った。

「ゆっくり、挿れるよ」

ゆっくりと、そっと、先輩の硬いものが僕の中に
入ってくる。指なんかとは比べ物にならない、その圧迫感を
紛らわせたくて、先輩の背中に回していた腕の力を強めた。

「ふっ・・・っ」

「痛くない?」

先輩は無理に押し進めようとはせず、すこしづつ僕の様子を
伺いながら、気遣ってくれているのが分かる。

「っ・・痛く、は・・ないですけど・・・」

先輩がさっき塗りたくってくれた得体の知れない液体のお陰なのか。
優しくしてくれているからなのか、今の所、痛みは感じなかった。

「じゃあ、もうちょっと挿れてみようか。・・・力抜いて」

「どうやって・・・」

「入り口のところ、緩めてみて」

先輩に言われるがまま、朦朧としながらもぎゅっと
無意識に締め付けていた入り口を緩めた。
すると、くちゅりと音を立てて、先輩の硬い、太いものが
中に入り込んできた。
背筋がゾッとするような感覚を覚える。

「ふあっ・・」

「っ・・、そんな感じ。痛くない?」

「痛く、無い・・です・・・」

むしろ気持ちがよくて、正気じゃいられなくなりそうだった。

「じゃあ、奥まで挿れるよ」

ぐっと、根元まで先輩のものが入った時に
なんとも言い難い快感が、繋がっている箇所から体中に走り、
堪らずに背中を仰け反らせた。

「ああっ・・あ・・」

「わかる?テンゾウ。全部、入ったよ。
 ・・・やっと、ひとつになれた」


体中がざわざわしている。
溜め息まじりの先輩の熱い声に、目を開くと
先輩はぎゅっと眉を潜めて切なげな顔で、僕を見ていた。
途端、泣き出したくなるような感情が沸いてきて。
僕の中に、先輩の熱いものを確かに感じている。

「本当に痛くないの?」
先輩の声が遠くに聞こえて、返事をしようと思っても
力が入らなくて言葉にならないから、ゆっくりと頷いた。

「・・・かわいい。テンゾウ」

先輩と体格もそう変わらない・・・いや、先輩の方が
ほんの少しだけ小さいかもしれない僕に対して、かわいいなんていう
先輩の気持ちが分からないけど、こんな優しい顔で言われたりしたら
本当にそう思っているのだと思えて、素直に嬉しいと思った。

ゆっくりと先輩が腰を動かし始めると、その度に体の力が抜けて
今まで感じた事のないような感覚を味わった。
先輩は僕の首元に顔を埋めて、きゅっと吸い付くようなキスをする。
首筋に当たる吐息が思いのほか熱く、それだけで頭がぼんやりとした。

ゆっくりだった先輩の腰の動きが早まってくると、
恥ずかしくてずっと我慢していた声が、堪え切れずに溢れてしまう。
ぼんやりしていると、一気にもっていかれてしまいそうで
なんとか踏みとどまろうと、必死に先輩にしがみついた。

「気持ちいい・・・?」
「っ・・・先輩・・・っ」

先輩の声は甘い溜め息まじりで
僕はもうすでに頭が真っ白で、体中が熱くなり
今にも達してしまいそうだった。
そして、まるでそれをお見通しだと言わんばかりに、
ずっと僕を気遣うように動いてた先輩は
根元まで何度も僕の腰を揺さぶった。

「ごめん、テンゾウ。俺、もう限界・・・」

先輩がそう言って体を起こしたかと思うと、
激しく僕を突上げた。

「あぁっ・・・っ・・・」

何度か打ち付けられただけで、
僕はあっという間に達してしまった。

「中、出してもいい?」

荒い息をしながら、先輩は苦しそうな表情をしていた。

「っ・・・はい」

なんとか僕が答えると小さく笑い、もう一度身を屈めて
僕の体を包み込むように、でも強く抱きしめてから
先輩の焼けるように熱い液体が、たっぷりと体の中に注がれて
先輩も僕も息が整うまで、長い間抱きしめあっていた。

     *